【サービス接遇検定】 お客さまの求めを察し、再来店につながる対応をする

第58回 サービス接遇検定3級(専門知識)より

【問題】

 ギフト品売り場担当の新人田島理絵は先輩から、「お客さま応対はお客さまをいらいらさせないように意識すること」と言われ、次のことを教えられた。中から不適当と思われるものを一つ選びなさい。

(1)品選びで迷っているお客さまには、先に予算を尋ねてそれ以上の品は勧めないような手助けをする

    と。
(2)お客さまに待ってもらう時は、在庫を確かめてくるなどと理由を言ってその場を離れるようにするこ

    と。
(3)時間がかかる包装をするときは、このように包装するので少し時間がかかるがよいかと断ってからす

    ること。
(4)幾つもの品の包装を希望するお客さまには、手の空いているスタッフを動員し待ち時間を少なくする

    努力をすること。
(5)一つの箱に何種類かを詰めて贈りたいというときは、詰めた後お客さまに見せて納得してもらってか

    ら包装すること。



【解説】

 お客さまをいらいらさせない応対の仕方に関する問題です。新人スタッフはお客さまの応対に慣れておらず、作業にも時間がかかります。しかし、お客さまをいらいらさせないよう意識して行動すれば、お客さまにとって納得がいく応対になり、再来店につなげることが可能になります。

 不適当は(1)。予算はギフト(贈り物)選びのポイントの一つです。そのため、先にお客さまに予算を尋ねてそれに見合った品物を進めるのは正しい応対です。しかし贈り物の場合は、品質や印象なども含め「贈る相手に喜ばれるかどうか」も重要なポイント。お客さまは、気に入った品物があれば予算以上であってもそれらを選ぶこともあるでしょう。その手助けをするのがギフト売り場でのお客さまサービスであり、「予算以上の品は勧めない」のは十分な対応とは言えません。「予算は絶対」と考えたのか、(1)を不適当とした受験者は51.7%に留まりました。

 その他の選択肢を、選んだ受験者が多かった順に見ていきましょう。

 (2)を選んだ受験者は22.9%。選択肢前半の「お客さまを待たせる場面が生じることがそもそもいけないと判断したのでしょうか。できるだけ待たせないようにするのはもちろんですが、現場ではやむを得ずお客さまを待たせてしまうこともあります。そこで、ただ「少々お待ちください」と言うだけではお客さまは状況が分からず不安や不満を感じるでしょう。それを防ぐ配慮として理由を伝えているのは適切な応対です。

 (5)は13.3%。お客さまは詰める品物を選んで任せたのですから、いちいち見せずに早く包装すべきと考えたのでしょうか。しかし、せっかくの贈り物がお客さまの想像と違ったものになってはいけません。「選んだ品物に間違いないか」「箱の大きさと品物のバランスは合っているか」「詰め方や見栄えはイメージどおりか」を確認してもらうために箱に詰めた後でお客さまに見せるのは適当な応対です。

 (3)は9.5%。放送の仕方によって時間がかかると断ったことを言い訳のように感じたのかもしれませんが、お客さまにとっては理由も分からず待たされる方が不満。(2)同様、それを防ぐための配慮として理由を述べているので適切な応対といえます。

 (4)は2.5%。待ち時間が生じるときでも、それを短縮しようというスタッフの努力は重要です。また、その様子が見えれば納得できるのがお客さまの心理であり、他のスタッフも動員して対応するのは適当な応対です。

 設問の場面はギフト品売り場であり、来店するお客さまは贈り物を選びに来るのが前提です。ということは、お客さまは「相手に喜ばれるものを贈りたい」と思う気持ちで品選びの相談をし、ラッピング(包装)の希望を言ってくるのです。そのようなお客さまに満足してもらうための対応ですから、スタッフは個々のお客さまの様子に合わせて機敏に対応することが求められます。別の言い方をすると、いかにお客さまの気持ちを先読みした柔軟な対応ができるかということでもあります。(『就職指導ニュースvol.54』より)