【秘書検定】 過去問題を繰り返し解き、臨機応変な対応力を身に付ける

第133回 秘書検定2級(マナー・接遇)より

【問題】

秘書Aの、上司を訪ねてきた客への対応である。中から不適当と思われるものを一つ選びなさい。

(1)学生時代の友人と名乗る不意の客に、よければ用件を聞かせてもらいたいと言った。
(2)時間に遅れてきた予約客が電車の遅延でと言ったので、上司に取り次ぐときそのことを話した。
(3)不意に訪れた取引先の人に、確認してくるので少し待ってくれと言って椅子に座ってもらった。
(4)電話で面会の予約を受けていた客だが来社は初めてだったので、名刺をもらいたいと言って預かった。
(5)前に来社したことがあって名前が分かっている客だったので、こちらから先に相手の名前を言って迎えた。


【解説】

 上司を訪ねてきた客への対応についての問題です。

 まず、来客対応ということから丁寧さは必須です。また、来客を受けて取り次ぐという対応には、迅速さも求められます。その際に重要なのは、臨機応変であることです。

 上司を訪ねてくる客はさまざまであり、誰に対しても同じではなくケース・バイ・ケースの対応が求められます。ここで考えるべきことは「そのときの状況」「上司と来客との関係」などです。それぞれの客に応じた適切な対応を迅速かつ丁寧に行うことが秘書には求められます。

 以上を念頭に置き、選択肢を確認しましょう。

 不適当は(1)。これを選んだ受験者は31.4%で、正答率は低い結果となりました。相手は学生時代の友人というのですから、上司との関係は私的なものです。そのような相手に対して用件を尋ねるのは、立ち入り過ぎた対応です。本当に友人かどうか分からないので確認するという場合であっても、用件まで尋ねる必要はありません。名前だけ聞き、迅速に取り次ぐのが適当な対応です。

 (4)は25.7%と、2番目に多くの受験者が選びました。電話で面会の予約を受けていたものの来社は初めての客です。名刺を預かるのは、確実で迅速な取り次ぎをするための対応です。「もらいたいと言って」という表現に惑わされたのかもしれないですが、設問をきちんと読めば、Aの言葉がそのまま書かれているわけではないことは分かります。このような勘違いをしないように、似たようなケースの過去問題を用いるなどして、問題の解き方をご指導ください。

 (2)は21.6%。予約客が時間に遅れた理由を電車の遅延と言ったのは、秘書に聞いてもらいたいからではなく、上司に伝えてもらいたいからでしょう。約束の時間に遅れた場合、来客側は少なからず「申し訳ない」という気持ちを抱いているもの。そのような気持ちを、秘書を通して伝えたかったことは想像できるので、上司に話しておくのは、秘書として客の意向を酌んだ適当な対応といえます。

 (5)は13.5%。名前が分かっているのなら、わざわざ相手が名乗るのを待つ必要はありません。客にしてみれば、自分のことを覚えてくれているのはうれしいことなので、よい対応といえるでしょう。

 (3)は7.8%。取引先の人とはいえ不意の来訪であり、上司に確認するのは普通の対応です。
 
 このように、来客対応と一言でいっても、相手や状況によってどのような行動を取るか、臨機応変な判断が求められます。実際にその判断を迅速に行い、かつ失礼のないよう丁寧に対応するためにはある程度の経験が必要です。

 これは学生や経験の浅い社会人には難しいことかもしれません。だからこそ、秘書検定を勉強することが大きな意味を持つのです。

 秘書検定は、問題を通してさまざまなケースを受験者に疑似体験させることができるツールです。例えば、今回のような来客対応に絞った過去問題を集中して解くことで、さまざまな状況を体験することができます。より多くの経験を積んだ社会人に引けを取らない判断力を身に付けることができるので、ぜひ過去問題を指導に活用してもらいたいです。(『就職指導ニュース』vol.56より)