【ビジネス文書検定】文章全体を手で書いて、声に出して身に付ける

第75回 ビジネス文書検定2級(表記技能)より

【問】

次の各文の(   )内は、その左の下線部分の意味です。この(   )内の意味に従って、下線部分の□内に、該当する手紙用語やビジネス文書での言い方を書き入れなさい。

(1)□□より感謝申し上げます。(心の奥底から)
(2)今後ますますのご活躍を□□いたします。(祈ります)
(3)ご□□は、□□□存じ上げております。(①お名前は、②以前から知っている) 注)①は「ご氏名」を除く。
(4)□□□□□ご容赦のほど、お願い申し上げます。
(5)スタッフ□□、皆様のお越しをお待ち申し上げております。(皆)

【解答例】

(1)衷心

(2)祈念

(3)①高名・芳名・尊名
    ②かねて

(4)あしからず

(5)一同


【解説】

 ビジネス文書における手紙用語や言い方に関する問題です。手紙用語などビジネス文書特有の言い回しについては、「読めること」、「正確に書けること」、「意味に基づいて活用できること」の3点がポイントです。

 本問の手紙用語は主に社交文書でよく使われますが、文書でしか使わない用語が多いため、学生にはなじみがなく、覚えるのに苦労するかもしれません。単語だけ暗記するのではなく文章全体の流れと意味を理解し、一文として覚えることと併せて、読み方も理解できるようご指導いただきたいです。

 (1)「哀」という文字に似ているためか、間違った漢字を書いた解答が多くありました。用語の意味は知っていても、読み方を「あいしん」と勘違いをしている可能性もあります。同じ意味で「深く感謝申し上げます」「心から感謝申し上げます」という表現方法もあることを併せて指導すれば、より理解が深まります。

 (2)「祈念」はなじみのない言葉のためか空欄の解答が目立ちました。「お祈りする」という意味と結びつかないなら、「今後ますますのご活躍をお祈り申し上げます」という別の表現を併せて覚えると良いでしょう。漢字は書けても「きねん」と読めない場合もあるようですが、「平和祈念館」など一般的に使われている名称等を例にすると覚えやすいです。

 (3) ①「高名(こうめい)」「芳名(ほうめい)」「尊名(そんめい)」はいずれも「名前」の尊敬語だが、「ご高名」のように「ご」を付けるのが一般的です。同じ意味の言葉が複数ある場合は併せてご指導ください。②「かねて」はそれだけで「以前から」という意味ですが、「かねてより」「かねてから」となどと覚えているケースが多いようです。いずれも間違いではありませんが(本来は重語)、本問のように3文字に限定される場合は対応できません。さまざまな言い方がある場合は注意が必要です。

 (4)「あしからず」はよく使われる表現ですが、「悪く思わないで」という意味まで正しく理解できていないことがうかがわれる解答が多くありました。知っている言葉でも、間違って理解していることがあります。辞書で調べる習慣を付け、複数の意味や使い方がある場合は併せて覚えておくと良いでしょう。なお、「悪しからず」も許容範囲としています。

 (5)「一同」は良く使われる用語であり、比較的、理解しやすいでしょう。「社員一同精励いたす所存でございます」など、別の使い方と併せて応用できるようご指導ください。

 検定試験は6割以上が正解であれば合格となりますが、実際のビジネスの場では誤字や間違った表現は許されません。検定試験合格だけでなく、実務で活用できる力を身に付けさせることを目指していただきたいです。(就職指導ニュースVol.56より)