【サービス接遇検定】 テイクアウトサービスの本質を考え対応する

第55回 サービス接遇検定3級(サービススタッフの資質)より

【問題】

 仲田まりなが勤務する洋食店では,事前に電話で来店時間を言って予約注文すれば,待たずにテイクアウトができる。次は,この店でテイクアウトのお客さまに関して行っているサービスの例である。中から不適当と思われるものを一つ選びなさい。

  1. 持ち運ぶ袋は環境によい紙袋を用意しているが,有料のビニール袋もあるがどうするかと尋ねている。
  2. 複数の注文でどの料理か中身が判断しにくいときは目印を付けておいて,口頭でも説明してから渡している。
  3. 来店予定時間より早くお客さまが取りに来ることを考えて,予約が入ったらすぐに作り始めるようにしている。
  4. お客さまから領収書が欲しいと言われたらすぐ対応できるように,注文を受けるときに尋ねるようにしている。
  5. メニューがよく分からないというお客さまには,人気のメニューやお得なメニューなどを案内してから注文を受けている。

【解説】

 洋食店の料理をテイクアウトするお客さまについてのサービスです。感染予防対策などから、テイクアウトの需要は拡大しているようですが、お客さまが満足し、次も利用しようと思ってもらえるようにするには、どのようなサービスが考えられるでしょうか。選択肢を通して考えてみましょう。

 不適当は⑶。62.4%と正答率はやや低い結果でした。この洋食店は、設問にあるように事前に予約をすれば、待たずにテイクアウトができるお店です。持ち帰る時間のロスはあっても、お客さまは店内での飲食と同じように出来たての状態で料理を食べることができ、予約を受けるのもそのためです。お客さまが予約時間より早めに来店するのは、お客さまの都合ですから合わせる必要はありません。その時間に出来上がっていなくても苦情を言うお客さまはいないでしょう。しかし、電話が入ってすぐに作り始めれば、冷めた料理を提供することも考えられ、逆に苦情になる可能性もあります。したがって、不適当ということです。

 他の選択肢も見ていきましょう。

 ⑴は、すでに紙袋を用意しているにもかかわらず、有料のビニール袋を案内したのが不適当と考えたのでしょうか。20.2%とやや多くの人が選んでいます。店としては、環境にやさしい紙袋を用意していてもお客さまはいろいろであり、頼んだ料理を運ぶときの状態、持ち歩きに要する時間などでビニール袋の方がよい場合もあります。となると、たとえ有料であってもビニール袋を選ぶ方法があるということは、お客さまにはうれしいサービスということになるでしょう。

 ⑵は、注文の料理をテイクアウト用に準備するとなると、しっかり包装しないといけません。となると、外見からは何の料理か見分けがつかないのは当たり前のことです。したがって、目印を付けたり、説明を加えるなどはなくてはならないサービスということになります。この選択肢を選んだのは1.7%でした。

 ⑷は、お客さまによっては、お買い上げのレシートではなくきちんとした領収書を求める人もいます。注文のときに領収書が必要かどうかを聞いておけば、お待たせすることなく料理と一緒にお渡しできます。店内が混雑しているようなときに領収書を書くことになれば、他の対応すべきお客さまをも待たせてしまうことにもなります。お客さまを待たせないスムーズな受け渡しも、テイクアウトのサービスです。この選択肢を選んだのは14.5%でした。

 ⑸は、お店になじみの薄いお客さまは、電話注文ではメニューのことはよく分かりません。ただ注文を受けるのではなく、人気メニューやおすすめのメニューを伝えることで、お客さまは情報量が増えるだけでなく、リピーターになってくれる可能性もあります。この選択肢を選んだのは1.2%でした。

  テイクアウトのよいところは店内での飲食と違って、自分の好きな場所で店内と同じメニューが楽しめることにあります。店での飲食と変わらない味を提供できるためのサービスを考えることが大切です。

(『就職指導ニュースvol.52』より)