秘書・ビジネス実務教育――指導例 |
お客さまと末永くお付き合いができる一流の社会人≠目指して
『ビジネス系検定就職指導ニュースvol.20』(H23.1.20 実務技能検定協会発行)「現場に学ぶサービススタッフの育て方」から抜粋。
・・・但陽信用金庫が新入職員研修で取り組んでいる,10日間の合宿研修のユニークな内容を紹介します。 「金融のプロとしてさまざまなサービスを提供することはもちろん,円満な人間性,幅広い教養を備えた"一流の社会人"として地域の方々と接する」(同社吉田研修課長)ことを目的にプログラムが組まれています。授業の話題としてお使いいただければと思います。
但陽信用金庫(兵庫県加古川市)は職員約670名、毎年約40名の新入職員を迎える。職員の多くが近郊地域の出身者で、家族的な社風が特徴だ。
最近では結婚後も働き続ける女性職員が増えており、子供の人数に合わせた家族手当を支給するなど、働きやすさも追求している。
親身なサービスを信条とする同信金の職員の名刺には「よろず相談信用金庫」の文字が刷られている。
その文字通り「金融のことだけでなく、困ったときには何でも相談していただける"町医者Wのような存在でありたい」という同社の人材育成について伺った。
●社会人の基礎をつくる伝統的な合宿研修
吉田課長の言葉の端々から、金融の専門知識はもちろんだが、あくまでも人間対人間の関係性を大事にしようという姿勢が伝わってくる。
但陽信用金庫の研修の中でも、特にユニークなのが新入職員研修会だ。新入職員は全員が順次、創業の地である生野町に建てられた研修施設で10日間の合宿研修を受けるのである。吉田課長が入社した20数年前にも、すでに同様の形式で行われていたというから驚きだ。「外部からも講師を招いて厳しく指導してもらいます。娯楽も何もありませんから、地獄の合宿かもしれませんね」との吉田課長の言葉に、「後から振り返ればいい思い出です」と笑顔をのぞかせるのは姫路南支店の石田恵子さん、本店営業部の山本明奈さん。二人はそれぞれ3年前、2年前にこの研修を体験した若手職員だ。
研修の目的は、社会人の態度、生活全般について理解し、身体で学び取ることである。具体的には、マナーやビジネスの常識、社会人としての規則正しい行動、チームワークだと吉田課長は説明する。「支店が32ありますから、配属後はほとんどの新人が一人ずつばらばらになります。仕事は互いに声を掛け、協力しなければできません。そんなとき、周りの先輩職員に声を掛けて教えてもらったり協力を得たりできるかどうか。研修での生活を通して、こうした職場での協力について理解し、またここで同期の仲間とのつながりを作ってもらいたいと考えています」。
研修中は4人一組が同じ部屋で寝起きし、朝食の準備や講師へのお茶出し、講義の準備なども受講生が当番制で行う。「受講生には意図して負荷をかけています」と吉田課長。当番だけでは時間内にこなしきれない量の仕事を与え、自然と協力体制ができるようにしているのだ。
「準備は当番だけではとても手が足りないので、自然に声を掛けたり、手を貸し合って協力することができました。今でも困ったことがあると電話で相談したりするんですよ」と石田さん。「お茶出しなど、学生のころにはやったことがないことも多くて最初は大変でした。でも、一緒に苦労をした人たちとは本当に仲良くなって、仕事のことや私的な悩みも相談できる仲間になりました」と山本さん。受講生同士の絆はこうしてしっかりと結ばれていく。
10日間の中でも多くの時間を割いているのがマナーの研修である。「マナー研修の初めには講師から、マナーは相手を思いやる心配りであり、サービス業に欠かせないものであること、職員一人一人のマナーが企業全体の印象まで左右するという説明があります。その後、まずは現状を理解するために、初日の自己紹介の様子を撮影したビデオを見ながら、チェックポイントを洗い出し、個別のレクチャーに入ります」(吉田課長)。
@マナーとは何か、A現状を知る(自己紹介の様子の振り返り)、Bお辞儀・発声、Cウオーキング、D発声の宿題、E敬語、F来客応対ロールプレイング、G電話応対ロールプレイング――これだけの内容を、丸2日間かけてじっくり習得する。最初に指摘されるのはやはり笑顔だ。そして、お辞儀やあいさつなどの発声、立ち居振る舞いの基礎であるウオーキングなど、実技を繰り返して丁寧に指導が行われる。
「私は『せっかちだ』という注意を受けました。気持ちとは裏腹に口が動かないということがあったので、『落ち着いてはっきりと話すように』という指摘は、今でも仕事中によく思い出します」と山本さん。石田さんは「講義の前に、お互いに名札や髪型など乱れがないか身だしなみのチェックをし合いました。そのおかげで、自分たちでどういう点に気を付けるべきか、チェックポイントを理解することができました」と振り返る。
研修の成果が、目に見えて現れるのが入社式である。「研修を受けた女子職員のあいさつ、お辞儀は本当にぴしっとそろっていて見事です。男子職員は4月1日の時点では、まだ研修を受けていないので、その差は一目瞭然。『自分たちも研修を受けるとこうなるんだ』と実感するでしょうね。朝夕の礼をはじめ、社会人として言動は実技を繰り返し体で覚えてもらう。それが組織の一員としての自覚にもつながります」(吉田課長)。研修ではそのほかにも、先輩職員からOJTでの指導の受け方を学んだり、教養を身に付けるため茶道や音楽鑑賞なども組み入れられている。長い職業人生の第一歩が、ここから始まるのだ。
●新卒採用でも秘書検定取得者に期待
このように、社会人としての基礎力を重視する同社では、秘書検定を大いに評価している。数年前には、新人研修やその後の業務で培ったマナーをおさらいするつもりで、十数名が準1級を受験した。
「すでに何年も勤めている職員も受験したのですが、『自分ではできていると思っていたけれど、十分ではなかったのかもしれないと気付く機会になった』『慣れが出てしまっていたけれど気が引き締まった』という感想がありました。総務部などの本部では、一般のお客さまではなく、大手金融機関の役員や官庁の方などをお迎えすることもあります。そうした点ではおさらいにもなったようです」(吉田課長)。現在は団体での受験は中断しているが、新卒採用時でも、秘書検定に合格している人にはやはり目が行くそうだ。
「最初はできる仕事が少ない代わり、あいさつだけはしっかりすることを心掛けました」という山本さんは2級に、「お客さまと話すときにクッション言葉を添えるなど、検定で学んだことを少しずつ実践できるようになってきました」という石田さんは2級と準1級に、それぞれ大学生の時に合格している。
「あいさつやお辞儀をはじめ、秘書検定で学ぶ内容の多くは社会生活に必要な常識マナー。これを学んでおくことは社会人として必ずプラスになります。私たちも、また余裕ができたら勉強会を開いて受験を推進したいと考えています」と、吉田課長は力強く語る。基礎があってこそ一流の社会人≠ノなれる。秘書検定がその入り口になることは確かなようだ。
(全文はこちら)
ビジネス文書は「一番役に立った」と卒業生=新潟会計ビジネス専門学校
『ビジネス系検定就職指導ニュースvol.18』(H22.5.20検定協会発行)から抜粋。
《専門学校ルネサンス》 プロ・スペシャリストを育てる(18)
新潟会計ビジネス専門学校
「あらゆる仕事で生きてくる 簿記・会計の知識と“人間力”を求めて」
同校は,2年制の経理ビジネス学科,情報経理学科,2〜4年制の税理士学科,公認会計士学科,1年制の会計研究科を擁し,いずれも経理の知識をベースに社会人として即応できるスキルの育成を目指している。学習から就職に至るまで,きめ細やかな指導が特長だ。
各種の検定や行事などを通して人間力を養い,地元社会に貢献する人材を育成する同校の取り組みについて伺った。
入学して最初に学ぶ簿記で 勉強の仕方も身に付ける
<前文・略>
“会計ビジネス” という校名だけあって,同校の教育の基礎となっているのは「簿記・会計」だ。学科を問わず全学生の必修科目で,入学して最初の2カ月はまず簿記・会計の基礎を学ぶ。それぞれの専門科目に入るのはその後だ。この指導方針について,事務局学生課主任の三木田薫先生は次のように話す。
「お金の流れや税金について理解することは,社会の仕組みを知る第一歩。職種を問わず必要な知識であり,この知識が身に付けばどんな業界でも役に立ちます。また,この段階で本校での学習の仕方を身に付けることも目的の一つです。短期間の厳しい指導に耐えることで集中力と忍耐力を養い,学生同士のグループ学習に慣れること。その後の学習のためにも,最初にしっかりと習慣付けておくのです」。
その言葉通り,同校では多くの場面でグループ学習を取り入れており,講義で学んだ後の復習をグループで行ったり,検定試験のための勉強もグループ学習を活用している。学生同士が教え合うことにより,知識が定着しやる気も増す。また,社会に出てからは多くの場合チームで仕事をすることになるため,学生同士がコミュニケーションを図ることは,その練習にもなるのである。
ビジネス文書は,卒業生から 「一番役に立った!」 と好評
簿記をはじめ,同校では数多くの検定を受験しているが,基礎的なビジネススキルの育成のために活用しているのがビジネス系検定だ。
秘書分野の学生は秘書検定を中心にビジネス文書検定,サービス接遇検定,ビジネス電話検定を,販売分野の学生はサービス接遇検定を中心にビジネス文書検定,ビジネス電話検定を,と学科ごとに重点を変えて取り組んでいる。教務部次長の榎祐香先生が担当するビジネス電話検定は,今年度から全学科で取り入れることになった。
「電話検定は,秘書検定には抵抗感を持ってしまいがちな男子も取り組みやすく,社会に出てすぐに使える技能。学生たちがどれだけやる気を出してくれるか楽しみです」(榎先生)。 中でも,取り組みに力を入れているのが,ビジネス文書検定である。
「毎年,年明けに卒業生を招いて就業体験談を聞くのですが,そこで彼らが口をそろえて『社会人になって一番役に立った』と言うのがビジネス文書検定なのです。最初は各学科でそれぞれ独自に『これは必要だ』と取り入れ始め,気が付けば全学科で指導していました」と,秘書検定,ビジネス文書検定などを担当する西脇紀子先生は言う。OB・OG からの生の声が後押しとなって「ぜひ取得したい」「スキルを身に付けたい」と意欲を燃やす学生が増えており,平成21年度は団体で文部科学大臣賞を受賞した。
学校で指導しているのは主に3級,2級で,早い学科では1年生の秋ごろから始まる。 「3級レベルでは穴埋めの問題が多いですが,まずは正しい文書例をそのまま書き写すように指導します。学生はビジネス文書の形式や用語に不慣れで,言い換えなければならない言葉に気付かなかったり,解答例を見ながら書いても,日付や配置などがいいかげんだったり,文字が汚かったりするので,ここでは少々厳しすぎるくらいに厳密に,整った文書が書けるまで何度でもやり直しをさせます。就職活動が始まれば送付状やお礼状などを自分で書かなければなりませんが,そのときだけ急に美しく書けるものでもありません。練習であっても丁寧に書くということを,日ごろから徹底しています」(西脇先生)。
文書の重要性に目覚め,独学で1級まで取得する学生もいる。この3月に卒業した西澤恵美さんもその一人。2年生の6月に3級を受験し,その時点ではそれほどためになるという意識はなかったそうだが,就職活動を進めていくうちに,これはもっと深く学んでおきたいと思ったという。過去問題を15回分も解き,疑問点は西脇先生に個別の指導を仰いだ。
「出題回数をチェックし,よく出題される文書は何度も一からノートに書いたりと,自分なりに傾向と対策を立てて臨みました。また,出題は少ないけれど,実際の会社で使いそうなものは参考書で調べておくなど,単に検定に合格するためだけでなく,仕事でも使えるスキルにすることを意識しながら勉強しました」と西澤さん。就職先の銀行でその力を発揮できる日を楽しみにしているそうだ。
学ぶことの楽しさを実感させ,学び続ける意欲を育てる
短い学生生活で,学生たちは驚くほど多くの検定試験を受験し,就職活動などに生かしている。しかし,先生方の願いは,決して知識を詰め込むことだけではない。
「検定試験の結果はもちろん大事です。勉強したことが形になりますし,プレッシャーを与えれば,やり遂げたときに自信も付く。それと同時に,合格して終わりではないのも事実。合格して,それでどうするか。本校の学生たちは,各種の検定で実際に使える技能を身に付けていくので,これを生かして自分は何ができるか,と考えるようになります」と西脇先生。前述の西澤さんや,秘書検定1級を取得した学生たちは,それらの検定に合格することで,「秘書になりたい」「マナー講師になりたい」とまた新たに将来の目標が広がってきたという。
「本校では検定などの学習だけでなく,人間性・・昨今言われる・人間力・の育成も目標にしています。人間力は・じんかんりょく・とも読めますが,社会で活動していく上では,多くの人とコミュニケーションをとり,自主的に行動することが大切です。さまざまな活動を通して,ク ラスの学生同士でも,教員と学生との間でも,学外の人とでも,人と人とをつなぐ力を身に付けてもらいたいと思っています」と三木田先生は話す。
その言葉通り,学生が主体となって行う学校行事や日々のグループ学習,インターンシップ,高校生対象の学校説明会など,・人間力・を培う場面が数多くある。
全学科の共通科目「実践行動学」も,社会で生きる人間としての基礎的な考え方を身に付けるのが目標だ。この科目は,学生同士のコミュニケーションを促進し,学ぶ姿勢や,将来に向けての目標設定などを学ぶ,キャリア教育に相当するもの。最初はグループになり,自己紹介として生い立ちや夢を話すことから始める。人と人とのやりとりができるようになり,相手の気持ちになって話ができるようになってほしいという。
「一番重視しているのは,学生たちが,学ぶことは・楽しい・と実感できること」・・先生方の強い願いは,こんな言葉に表れている。
(以下略,全文はこちら。 編集協力:西文社)
学生一人一人の内にある考える力,問題解決能力を引き出し,育む=福島学院大短大
『ビジネス系検定就職指導ニュースvol.18』(H22.5.20検定協会発行),「ビジネス実務教育最新事情・大学編」から抜粋。
今の若者の特徴として、「人見知り」「他者に対し、自分の方からかかわりを持とうとしない」ということがよく言われる。しかし、社会人となれば、それでは通用しない。社会性が身に付いていない、未熟と見なされてしまう。では、どうすれば社会性を育むことができるか。
この課題に積極的に取り組む福島学院大学短期大学部 情報ビジネス科の取り組みをレポートする。
<前文・略>
のんびりしている学生たちを,いかに早く方向付けるか
情報ビジネス科(男女共学、1学年約80人)は、同大の前身である福島女子短期大学秘書科として昭和60年に開設され、その後、男女共学化、学科名変更などを経て、平成14年に短大部情報ビジネス科となった。前述の通り、その4年後には学科ごと市中心部へと移転し、新たな一歩を踏み出した。学科長の河野毅教授はこう話す。
「短大部には、情報ビジネス科、保育科、食物栄養科の3科があります。他科の学生たちが具体的な目標を持って入学してくるのに比べ、本科学生は、入学してから絞ればいい、と総じてのんびりしています。しかし、短大2年間は決して長くはありません。学生たちをいかに早く方向付けていくか。これが私たちにとって最優先課題でした」。
方向付けるとは、言ってみれば眠っている子を起こし、「さあ、自らの進むべき方向に歩み出そう」と促すに等しい。このときにきっかけとなるのは何か。ビジネス実務関連の授業を担当する専任講師の小松由美先生はこう話す。
「学生たちの多くは、何かを達成した体験が圧倒的に不足していますから、自分に自信が持てないし、物事に積極的になれないという面があります。そこでまずは身近で具体的な目標を設定し、ともかくチャレンジさせる。そのための仕掛けが必要だと思います。授業で課された目標であれば、学生もやらざるを得ませんから、渋々でも動き出します。それがやがて成果につながると、自信を得て学生は目に見えて変わってきます」。
同科では、・ビジネス実務、・IT実務、・ウェブデザインの3つを柱に、即戦力育成を目指す。このうち、ビジネス実務学習の中核となる科目が「ビジネス実務演習・」(1年次通年、必修)である。この授業では、あいさつに始まり、敬語や話し方・聞き方、ビジネス文書、ファイリングなどビジネス実務の基礎を幅広く学ぶ。そうした多様な取り組みの中にあって、身近で具体的な目標の一つとして挙げられているのが「サービス接遇検定」である。ここでは同科におけるサービス接遇検定への取り組み状況と成果について報告する。
サービス接遇検定を活用し、学生の意識を揺さぶる
サービス接遇検定は1年次の6月には2級を、11月には準1級を全員が受験する。なぜサービス接遇検定なのか。その狙いについて、小松先生はこう話す。
「面接試験で外部の第三者から評価を受けるこのインパクトが大きいですね。そのことは1年の初めから意識させています。授業であいさつやお辞儀の仕方、言葉遣いを学びますが、そのときにも面接試験を意識させます。しかもサービス接遇検定の場合は、お客さまを意識した対応として『愛想』や『愛嬌』が求められます。自分から相手に働きかける積極的な気持ちがないと、これらの態度は生まれてきません。入学したばかりの学生は、どちらかと言えば、人見知りで物おじしがちです。こうした自分を抜け出して、誰とでも明るく気さくにコミュニケーションできるようになってほしい、そんな願いもあります。
また、学生の多くがサービス関連のアルバイトをしていますが、そこではきちんとしたお客さま対応を教えてくれるわけではありません。言葉遣いにしてもちょっとヘンだったりしますよね。アルバイト体験もインターンシップの一種ですから、これをもっとうまく生かす手はないか。そんな思いもありました」。 サービス接遇検定は秘書検定と違い、準1級には筆記試験はなく、面接試験のみ。面接試験に合格し、2級に合格していれば、準1級合格になる。こうした点も、全員受験がしやすい条件だという。
では実際にどのような授業を行っているのか。「ビジネス実務演習」は学年約80人を4つのグループに分け、少人数制クラスとしている。担当するのは小松由美先生と、もう一人、三村善美教授のお二人。相互に連携を取り合いながら授業を進めている。
三村教授は秘書教育にも長年携わり、これまで数多くの学生を社会に送り出してきた。三村教授のお話からは経験豊富なベテランならではの指導上の工夫がうかがえる。
「検定の筆記対策については、基本的には課外の取り組みとしています。毎回、実問題をプリントして配り、次回の授業の前に提出させます。問題を解いて自己採点する。その際、間違ったところは正解を赤で書き写す。また分からない問題については、どこが分からないのか、それも書くように言っています。正解を写すだけでもいいから、ともかく書かせる。家で勉強すること、書くこと、いずれも小さな積み重ねですが、続けることで習慣になってくれればと思っています。提出されたものには『がんばれ、このままでいいよ!』とか、間違いが多く赤字だらけでも『書くと覚えるから、がんばって』とか、どこかしらよいところを探してコメントし、フィードバックしています。
これは普段の授業でも心掛けていることです。特に、あいさつや立ち居振る舞いなどワーク指導では、よいところを探して『そうそう』『それでいいのよ』と褒めます。本当を言えば全部注意したいところですが、そこをグッと押さえる。そうすると学生は『これでいいんだ』と安心し伸び伸びと行うようになり、実際によくなっていきます。褒めることは励ますこと。今の学生にはそれが必要なのでしょうね」。
学校での学びがアルバイト体験を活性化させる
こうして6月に2級を受験。同科の平均合格率は8割以上。学生にしてみると「みんなで受けるんだから、自分だけ落ちるわけにはいかない」というのが本音だろう。それが後押しとなり、合格率は年々上がってきている。
「これを境に、勢いづくというのか、やる気が違ってきますね。最初は『面接試験なんて嫌だ』と言っていた学生も、これまでの自分を変えたいと積極的な姿勢を示すようになる。合格し自信が付いたのでしょう。それだけに落ちた学生には十分なフォローが必要ですから、そこに力を注ぎます」(小松先生)。
それにしても、入学してわずか二、三カ月か月で学生の意識はそんなに変わるものなのか。1年生のときに2級・準1級に合格、2年生になって、さらに1級にチャレンジし、見事合格した学生2人に話を聞いた。
(以下略,全文はこちら。 編集協力:西文社)
男子も秘書検定にチャレンジ!・・・男子へ広がるビジネス系検定/その指導は?
『ビジネス系検定就職指導ニュースvol.17』(H22.1.20 実務技能検定協会発行),「女子から男子へ,広がるビジネス系検定」から抜粋。
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男性社員もビジネスマナーなどの,知識や技能が必要となっている
表のように男性がビジネス系検定を受験する背景には、ビジネスの現場において男性社員といえど、ビジネスマナーなどのビジネス実務力が強く求められる時代になっていることがある。本誌で連載中の「現場に学ぶ サービススタッフの育て方」でも紹介されているように、男性社員にビジネス実務力を求める企業は多い。例えば横浜市交通局。CSを重視する同局では、さまざまなサービス関連の研修を実施。その上でサービス接遇検定を受験し、多くの合格者を出した。平成20年度にはサービス接遇検定文部科学大臣賞団体賞を得ている。サービス接遇検定ではほかにJR東日本の取り組み例などが紹介されている。
ビジネス実務マナー検定に挑戦しているのがケーブルテレビ株式会社である。同社ではビジネスマナー向上委員会を設置。朝勉強会を開催したりルールを統一化するなどの活動を推進。ビジネス実務マナー検定の受験はその一環だ。
秘書検定に挑戦しているのが株式会社トワード物流。同社は「お客さま満足度九州一の会社を目指す」ため、社員教育に秘書検定を導入した。担当者の男性は学生時代に秘書検定2級を取得。その経験から「秘書検定は、社会人として最低限必要なビジネスマナーを学べるし、形だけでなく人柄を育てる検定である」ことを評価している。
男子生徒・学生 特有の,照れや気後れをどう克服するのか
このように、ビジネスの現場においては男性社員にもビジネス実務力が求められ、そのことに対する評価が高まっている。こうした評価はキャンパスにも伝わってきており、男子学生のビジネス実務教育に対する見方が変わりつつある。男子学生も積極的にビジネス実務教育を受け出すようになっているのだ。このことはビジネス実務教育を担当する教員側においても、男子学生指導の知識やスキルが求められる時代になりつつあることを示している。
では、男子には、どのような特徴があるのか。男子生徒や学生の指導法を考えるに当たり、その点を確かめてみたい。
千葉美容専門学校でビジネスマナー指導に当たる田中恵子先生は、男子学生の特徴をこう話す。「やはり照れがあるのでしょうか。実習などをするときに男子だけで固まる傾向があります。なかなか女子学生の中に入っていけず、もじもじしている学生が多いと感じています。また、実習中でも個々の動作や姿勢がなっていない学生が多いですね。背筋が伸びておらず、背もたれにもたれたり、机にうつぶせになったり」。
このような状況を改善するために、田中先生のクラスでは、1年生の早いうちから「気を付け」の姿勢や座り方・座り姿の練習を重ねているという。そうした基本的な指導を続けていくことで、ビジネス実務教育を学ぶ「姿勢」も身に付けさせていくのである。
男子学生の照れを指摘する先生は多い。特に秘書検定はテキストも問題も「秘書A子」で始まるため、女子向きという認識が強いようだ。そこで、秘書検定が女子向けではなく、男女共通して有効なものであるという認識をしっかり固めてから具体的な教育に入るというのが、明誠学院高等学校である。同校では秘書検定をビジネスマナーの授業に導入。男女を問わず学ぶことにしている。同校は前身が女子校であったため、秘書検定指導の歴史はあった。その経験を生かし男子生徒指導につなげているのだ。同校の難波敏明先生は学習のステップを次のように話す。「一般的に秘書検定は女子対象の検定試験のイメージがあるので、新入生が入学してすぐに行われる宿泊研修で、なぜ秘書検定を学ぶのか、その意味と狙いについて説明します。最初にきちんと説明することで、男子も違和感を持つことなく積極的に取り組むようになります」。
(中略)
ワンランク上を目指すことで,甘い気持ちを捨てさせる=四年生大学生
四年制大学で積極的に男子学生の秘書検定受検指導に取り組んでいるのが、東京国際大学である。指導に当たる坂尾眞理子先生は男子学生に秘書検定を指導する意味について次のように話す。「新入社員では男も女も普通、補佐業務からスタートします。男子であっても上司や会社の意向に沿って業務を推進しなければなりませんから、そのための知識やスキル、留意点などはしっかりと理解し身に付けておく必要があります。私が秘書検定を男子学生に勧めるのも、秘書検定の学習を通して、社会人に必要とされるビジネスの基本知識やマナーが習得できるからであり、補佐業務従事者に求められる役割意識や気遣いなどが学べるからです。秘書検定だからといって女性が対象であるといったイメージは変えるべきでしょう」。
男子学生の学習に当たっては、坂尾先生も目標をワンランク上の準1級を目指すよう指導している。2、3級で基礎知識をしっかりと学べば、準1級の筆記試験も容易に突破できるからである。問題は面接試験である。面接試験では言葉遣い、態度振る舞い、気遣い、感じのよさなど、知識として学んだことが、きちんと身に付いているかどうかが問われる。男子学生にとっては正念場のところである。 「だからといって、男子に女子の言葉遣い、態度振る舞いをまねさせるわけではありません。基本形として男子の形、女子の形がありますから、それを手本に指導するわけです。ただし、秘書検定などビジネス実務教育に携わる教員は女性が多いのが現実です。したがって、女子学生にモデルを示すことはできますが、男子学生にモデルを示すことは難しい。そこはクリアしなければなりません。それ以外は、男女をことさら区別することはありません。ともに準1級を目指す仲間として仲間意識を持ってもらいたいと思っていますから」(坂尾先生)。
東京国際大学で幸いだったのは、極めて優秀な男子学生が秘書検定に挑戦したことである。彼は02年にストレートで準1級に合格。以後は会社勤めをしながら後輩の指導に当たった。その中からさらに優秀な男子学生が育ち次々にバトンタッチしながら指導に協力している。彼らに秘書検定挑戦の気持ちと感想を聞いてみた。
「見られる」苦しさを跳ね返すことで,自信を付ける=合格者の感想
(以下略,全文はこちら。 編集協力:西文社)
高等学校の指導例
『ビジネス系検定 就職指導ニュースvol.16』(H21.10.20 実務技能検定協会発行),ビジネス実務教育最新事情:高校編から抜粋。
秘書検定2級・全員合格が目標‥‥コミュニケーション力育成
明誠学院高等学校(岡山県岡山市)
秘書検定3級と2級との間には、大きな壁があるといわれる。 特に社会経験の浅い高校生にとって、2級合格は難しいチャレンジとなる。 岡山市の明誠学院高校・普通科新情報コースでは、全員2級以上合格という高い目標を掲げ、講義やe-ラーニングを用いた授業、補習、勉強合宿などさまざまな学習プログラムを組み、生徒・教員が一体となって取り組む。
(前略)
投げない、あきらめない粘り強さを育む勉強合宿
2級以上3種類以上の資格を取り、実務力を身に付けたいという生徒が学ぶ「新情報コース」は1学年約120人、男女比では男子が6割強を占める。そのうち7割が進学、3割が就職を希望している。このコースでは、入学と同時に一人一人にノートパソコンが無料で提供される。マイパソコンである。以後3年間は、e-ラーニングの授業をはじめ予習・復習、情報収集など学習に欠かせないツールとなる。その成果として、情報処理検定・ワープロ検定2級以上の全員合格が課されている。
同コースではもう一つ、力を入れている分野がある。コミュニケーション力の育成だ。中心となる科目は「ビジネスマナー」。1〜3年の各学年ごとに週2コマ・通年で組まれている。1年次では主に秘書検定に即して社会常識やマナー接遇を学ぶ。2年次では一歩進めて「なぜそうしなければいけないのか」を考え、実際に自己紹介や名刺の受け渡し、ネクタイの結び方などを行い実践につなげる。3年次には、秘書検定1級の実問題を用いてケーススタディを行ったり、新聞を活用するなど視野を広げる。そして、その成果として秘書検定2級以上資格が設定されている。全員合格が目標だ。
「ビジネスマナー」を担当する難波敏明先生はこう話す。「本校の生徒は総じて、おとなしく、まじめ。素直でコツコツ努力する生徒が多いのですが、どちらかというとコミュニケーションが苦手です。一般に秘書検定というと女子対象となりますが、本コースではコミュニケーション能力育成のための検定と位置付け、必須検定としています。2級以上合格は高校生にとっては高いハードルですが、そこを粘ってクリアしてほしい。われわれ教員も最後まで付き合います」。
この目標を早々にクリアできる生徒もいるが、皆が皆というわけにはいかない。そういう生徒のために補習も随時行われ、さらに泊まり込みの勉強合宿も年2〜3回実施されている。参加は自由で、学年も問わない。ここでは夜を徹して、「全問できるまで寝かせない」(難波先生)というくらい、分かるまで、できるまでとことん勉強する。
参加した生徒はこんな感想を聞かせてくれた。「勉強ばっかりで家に帰りたくなりました。でも、みんなも頑張っているのに、自分だけ投げ出すわけにいもいかないし、最後まで頑張りました。2級に合格したときは本当にうれしかったですね。合宿に行かなかったら、あんなに勉強しなかっただろうし、受からなかったと思います」と直木詩緒里さん。「苦しいけれど楽しかった。友達の輪が広がりましたね。学年やクラスが違っても、目指すところはみんな一緒だから心強かったし、励みになりました」と信定大博さん。
「集団生活の中で規律を守ること、生徒同士が協力して生活すること、そうした中で人に対する気遣いや思いやりを身に付けていく。まさに秘書検定で学んだ対人技能を発揮する場となります。われわれスタッフはヘトヘトになりますが、生徒が大きく変わっていく姿を見ると、またやろうか、という気になります」と難波先生。
教師がまず手本を示し、生徒に呼び掛ける
秘書検定の勉強合宿のほか、同校にはさまざまな合宿プログラムがある。その皮切りとなるのが、入学直後に新入生全員が参加する一泊二日の宿泊研修だ。ここでは、食材を調達し調理するのも生徒自らやらなくてはならないので、互いに協力し合わないと事は進まない。初日夜の自己紹介までに生徒たちはすっかり打ち解け合っているという。この場はまた、教師と生徒が心を通わせる場でもある。これからの3年間をどう過ごしていくか。教師は生徒に問い掛けながら、自らの熱い思いを語り掛けていく。
「本校では生徒に『〜しなさい』と言うのではなく、教師がまず手本を示し『〜しよう』と生徒に呼び掛けます。率先垂範です。ですから生徒に心を開きなさいと言う前に、まず教師が率先して心を開いて語り掛けます。また、例えば、なぜ男子も秘書検定を学ぶのかなど、これから学ぶことの意味についても話をします。二日目は海に出て、各チーム6人に分かれ筏レースに興じます。チーム全員が力を合わせないと、筏は進んでくれません。みんな四苦八苦ですが、終わった後は、とてもいい顔をしています」とコース主任の高谷正文先生。
率先垂範はマナー面でも徹底している。毎年年度初めには教職員の「マナー研修」が実施され、あいさつ、お辞儀、電話応対などが生徒のお手本にふさわしいかをチェックする。各学期の終わりには生徒にアンケートし、「よくあいさつする先生ランキング」を公表するという。「生徒一人一人と向き合う」ということは、平たく言えば、生徒たちとの日常の関わりをいかに多くするかということ。生徒に声を掛けることがその一歩との認識からだ。また、年1回生徒全員の家庭訪問を行うなど、保護者とのコミュニケーション作りにも熱心に取り組んでいる。安井美紀さんが秘書検定準1級にチャレンジしたときは、お母さんが面接試験の審査員役を務めてくれるなど家族ぐるみで応援してくれたという。これも学校と家庭との良好なコミュニケーションがあってこそだろう。
(以下略,全文はこちら)
ビジネス電話検定の受験指導に “時間を取れない場合”の事例
(取材:早稲田教育出版)
当出版が,ビジネス実務教育の教員や検定部スタッフから伺った指導事例をまとめてご紹介します。(2008.8.7)
1.まずはB 級合格を確実に狙う・・・
……A級はB級の延長上にあるので、(復習程度で)合格できる。
@そのためには、基本の言い回しを声を出して徹底暗記する。
指導方法としては、たとえば受験ガイド69ページの囲み罫の中の、下段

▼「先日は提案書をお送りいただきまして・・・・・・」を 生徒3人で、句読点ごとに交代するようにして声に出して読む。 「早速、」だけで終わってしまう学生・生徒がいてもよい。
▼3人は自分が読まねばならないために、集中して文を追っている。
▼終わったら、同じメンバーで、読む順番を変える。これを3〜4回繰り返す。
A次に、先生がその同じ文にカッコを付けた「穴埋め問題」を渡して、それを見ながら,@のように交互に読ませる。
▼穴埋め個所は、この例文なら「お送りいただきまして」や,「拝見いたし」「少々お聞き」「お時間よろしいでしょうか」などがいいでしょう。
・この方法で相当、暗記できるとのことです。
(・・・もう少し基本的なフレーズは,たとえば 「自分の部署にいない人あての電話」(46ページ)のやりとりなどを,同様に句読点で交代して読む練習をしてはいかがでしょうか=早稲田教育出版)

2.ビジネス電話検定の受験指導に “時間を取れない” 場合・・・・専門学校の事例
@第1章の「ビジネス電話の基礎知識」を2時間で終わらせる
A第2章の「電話応対の実際」も2時間程度で終わらせる。
B第3章のケーススタディは飛ばして、敬語を徹底的に勉強させる(暗記)3時間程度
C授業コマ数が少ないときは、秘書検定のマナー・接遇の勉強の中で、消化してしまう!
----という学校もあるようです。
3.そ の 他
@秘書検定のマナー・接遇の中に電話の問題がたまに出るので、それを「実問題集」から探してきて、練習問題にする。
A「ビジネス系検定 就職指導ニュース」(検定部発行)の「解答のポイント」ページから,電話検定の実問題の例文を利用する。
B授業を大きく広げる必要はない。基本的な言い回しだけをきちんと押さえる。
----などのアドバイスがありました。